黒い雨訴訟、広島市と広島県が控訴 国の要請受け入れ

 国は原爆投下直後の調査で黒い雨が激しく降った「大雨地域」に限って援護の対象とし、がんなどの特定疾病が見つかれば援護法上の被爆者として手帳を交付。医療費の自己負担をなくし、各種手当を交付してきた。これに対し、「小雨地域」や「降雨地域」の外にいたとされる原告は援護の対象外としてきた。

 広島地裁判決は、黒い雨の実際の降雨範囲は国が定めた大雨・小雨地域より広いと認定。地域の違いや降雨時間の長短によって援護に差を設けることに「合理性がない」と判断し、84人全員への手帳の交付を命じていた。

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 〈黒い雨〉 原爆投下後、広島にすすなどを含む黒い雨が降った。1945年の地元気象台技師らの調査では爆心地の北西方向の「東西15キロ、南北29キロ」で降り、うち「東西11キロ、南北19キロ」が大雨地域と分析。国は76年、大雨地域に限り援護対象とした。健康診断が無料となり、特定疾病を発症すれば被爆者健康手帳が交付され、医療費自己負担分がなくなり各種手当も支給される。広島県広島市の調査などではより広い範囲で降ったとされる。作家井伏鱒二は小説「黒い雨」を執筆し、89年、今村昌平監督が映画化した。

ASAHI.COM

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