「最も危険な男」米に移送 メキシコ、トランプ氏意識か

「麻薬王」と呼ばれたメキシコの麻薬密売組織の最高幹部ホアキン・グスマン受刑者(59)について、メキシコ外務省は19日、以前から引き渡しを求めていた米国に身柄を移送したと発表した。メキシコに批判的な言動を繰り返すトランプ次期米大統領の就任を控え、今後の摩擦を避けるために引き渡しを急いだとの見方もある。

グスマン受刑者は麻薬組織シナロア・カルテルのリーダー。「エル・チャポ」の通称で知られ、「世界で最も危険な男」などと呼ばれてきた。1993年に逮捕されたが、01年に洗濯物のトラックに隠れて脱走。再び拘束されたが、15年には1・5キロのトンネルを掘って脱獄。16年1月に捕まった。

地元メディアなどによると、グスマン受刑者は19日、メキシコ北部のシウダフアレスからニューヨークへ移送された。今後、米国で犯した麻薬密輸や殺人、マネーロンダリング(資金洗浄)などの罪に問われる。メキシコ政府は昨年5月、死刑を適用しないことを条件に引き渡しを決めたが、グスマン受刑者側が異議を申し立てていた。(アグアスカリエンテス〈メキシコ中部〉=田村剛)

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