台湾で日本人銅像破壊 教科書にも登場する人物、なぜ?

写真・図版台湾で相次ぐ銅像などの被害

 台湾で、日本統治期の日本人土木技師の銅像が壊された。現地で教科書にも登場する人物。日本に友好的と言われる台湾でなぜ――。

■「東洋一のダム」工事率いる

台北市から南へ約200キロ。事件は台南市の郊外にある烏山頭(うさんとう)ダムで起きた。ダム湖を眺めるように置かれた銅像の頭部が切断され、なくなっていることに、ダム関係者が今月16日に気づいた。

銅像の人物は八田(はった)与一(1886~1942)。日本の植民地だった台湾に赴任し、烏山頭ダムの工事を率いた技師だ。「東洋一のダム」とうたわれ、下流には水路も整備された。1930年の完成後、干ばつに苦しんでいた地域は穀倉地帯に生まれ変わった。

だが、太平洋戦争が始まり、八田は乗っていた船が米軍に撃沈され、亡くなる。終戦後、功績を知る地元の人々がダムのそばに墓を建て、供養を続けてきた。記者が一昨年の夏、訪問した際も、花束が捧げられていた。

「八田が建てたダムでコメの生産が増えた」。台湾の小6用の歴史教科書には八田が登場する。当時を描いた台湾のヒット映画「KANO」(2014年)では、八田役を日本から参加した俳優の大沢たかおさんが演じている。

慕われているはずの八田の銅像を壊したのは、元台北市議の男だった。17日になって、女性とともに警察に名乗り出た。

男は、台湾と中国との統一を主張する政治団体などで活動し、過激な言動で知られる人物だった。自身のSNSには、日本の植民地支配に抵抗したという伝説の義賊の名を借り、「現代の『廖添丁(リアオティエンティン)』現る」と書き込んでいた。

だが、肝心の頭部は見つかっていない。男は15日未明に切断したとみられるが、調べに「頭は持ち去っていない」と語っているという。

ASAHI.COM

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